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セガワブログ

小説家、瀬川深のブログ。

 米子のことを書こうと思ったら書きたいことがありすぎて結局ブログを放置プレイにしておりました。計画性のなさは相変わらずですがセガワは元気です。米子についてはいつか必ず書きます。


 なんか最近宣伝ばかりで恐縮なんですが、季節ものの話題と言うことでご容赦下さい。
 実は先週の10日、セガワのインタビュウが朝日新聞に載りました。記事の内容はこちらです。とても面白いインタビューだったのですが、セガワの駄法螺をものすごく巧くまとめて下さったと思っています。ありがとうございました。
 とりわけ「古典的な教養主義」とは面はゆいお褒めの言葉で、自分のこのへんの源流は、我が母校にそこはかとなく漂っていた旧制中学の残り香にあるのかなと自分では思っております。ああいう学校で、オサレやら時流やらに無縁な一種の浮世離れの中に過ごした青春時代というのはずいぶん貴重な財産になるものだと、今ごろになって気付きました。
 で、当日はいきなり伯父から電話がかかってきたり小学校時代の恩師から連絡があったりして、実家の両親がびっくりしておりましたよ。さすがは新聞です。油断なりません。
 でもって翌日病院の外来に新聞のコピーが貼られておりました。


 というかwebに掲載されると思わずに新聞をスキャンしたのちにリンクを発見し、ウワァ無駄骨だと思ったのですがなんか悔しいので画像を貼っておきます。(個人情報保護の見地に基づき画像を一部加工しております)


asahi_20090610


 他にも、共同通信からの配信で各地方紙に書評が載ったようなのですが、さすがにこちらは未確認です。親類や友人からの情報で、岩手日報と河北新報と信濃毎日新聞には載ったことを確認してるんですが。


 そういえばおとついは太宰治賞の授賞式でした。このことは稿を改めてまた書きます。
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 というわけで前回書きました通り、The Sneaker誌の6月号にミサキラヂオの書評が載りましたのでお知らせします。少々書くのが遅くなりまして申し訳ないです。ご執筆下さったのはタニグチリウイチさんです。ご紹介ありがとうございました。
 なお、検索してみたらタニグチさんのHPをみつけたのですが、ものすごい文章量に驚愕しました。特濃な内容で面白いですよ。


 正直なところ、ライトノベル(以下ラノベ)の雑誌にご紹介されたと聞いて驚きましたね。ちょいと自分の小説はラノベの読者にはなじみにくい部分があるんじゃないかなあと思っておりましたので。
 これはべつだん高邁なことを書いているとかいう妙な自負があるわけではなく、書き方にかなり偏屈独特なところがあるという意味合いなのですが。平たく言えば、大塚英志さんあたりの言うキャラクター小説からはかなり遠い書き方です。これは、セガワがキャラクターにはっきりとした輪郭を与えることに抵抗を感じているからなのかも知れません。
 それに、セガワはカギカッコを使わなかったり改行をしなかったりキャラクターに名前を付けなかったりというクセがありまして(あ、一応考えてやっております)、このへんはおそらく一般的な小説の書き方のメソドロジーからは少々逸脱する部分でしょうね。ふつう主人公に名前ぐらい付けるだろうしなあ。
 もっとも、本誌の記事は「ライトノベルが好きだから読んで欲しい」というコーナーで、ラノベの読者へ非常に親切に拙作をご紹介下さる内容となっておりました。これを機会に手に取っていただければ大変嬉しいです。


 なお、これをご縁に初めてThe Sneaker誌を買ってみました。実のところセガワはほとんどラノベを読んだことがないんですよ。高校のころ友人が富士見ファンタジア文庫とか聖エルザクルセイダーズとかにはまっていたけど中身は読まずじまいでしたし(そういえばあのころラノベって言葉はなかったような。なんて呼び方をしてたっけかなあ)。
 なので内容について云々することは避けますが、文体も内容も思いのほか幅広くて面白かったですね。比較的コメディ寄りだと一人称、シリアス寄りだと三人称が使われることが多いのかなあ、と想像してみたり、一人称・三人称を問わず、語り手に相当する視点が読者の視点に近いのかなあと考えてみたり。可愛いイラストがたくさん載っていて羨ましいのですが、これをミサキラヂオでやったらどうなるんだろうと考えてみたり。
 ……ウワーおっさんばっかりだぁ。華やぎに欠ける誌面になりそうだなあ。


 そういえばこの週末ミルチャ・エリアーデの小説を読みまして、思いのほかのファンタジー小説ぶりに「これラノベの枠に入らないかなぁ」とちょっと思ったのですが明らかにムリがあるので諦めます忘れてください。
 ともあれ萌えキャラ不在の上にオッサンだらけのミサキラヂオですが、ラノベ読者の方々も何卒よろしくお願いいたします。エリアーデについてはまた別にエントリーに書きます。


the Sneaker (ザ・スニーカー) 2009年 06月号 [雑誌]the Sneaker (ザ・スニーカー) 2009年 06月号 [雑誌]
(2009/04/30)
不明

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 角川書店発行のアニメ雑誌「Newtype」誌6月号に、「ミサキラヂオ」のご紹介の記事が載りました。
 先駆けてインタビュウをして頂いたのですが、その内容を交え、若い読者に向けての大変手厚いご紹介をいただいております。ありがとうございました。
 ついでに、たいそうオサレな服で身を固めたセガワの近影も載っております。突っ込みは無用です。


 自分の小説はアニメとはあんまり関連がないと思っていたので、率直に言ってかなりびっくりしました。昨今は小説原作のアニメや映画もたくさんありますけど、自分の小説は映像化にはかなり不向きだろうしなあ……。
 しかしまあ、前回のエントリーでも書いたことですが、違ったジャンル(敢えてしきりを設けるつもりはないのですが、この場合は『一般文芸以外』程度のニュアンスとお受け取り下さい)の読者さんに目を向けて貰えるのはとても嬉しいことです。アニメ化されるような華々しい物語とは対極にあるような小説ですが、これを機会に手に取って貰えるといいなあ。
 萌えも燃えもないような小説ですけど。自分のひねり出せる萌えキャラは、ワタナベユミ・ユーミあたりがギリギリです。そしてかなりズレています。


 それにしても、セガワは漫画はそれなりに読むのですがアニメはさっぱりで、アニメ雑誌を読んだのも中学校の時以来かも知れません。そもそも自宅にテレビがないですから。
 そんな乏しい経験を承知の上で、いちばん好きなアニメ作品を一つあげるならば、それは断然「王立宇宙軍 オネアミスの翼」です。これを中学生というきわめて多感な時期に公開当時に観に行きまして、ものすごい衝撃を受けました。セガワはおそらくこの作品で「世界の丸ごとをこしらえてその中で大ウソをつく」という作法に行き当たったのですが、これはほぼ同時期に見た「ラピュタ」と並んで、恐ろしく印象深かったですね。
 「オネアミス」についてはもう本当に好きで、これだけでエントリーが一つ書けるぐらい好きなので深入りはしませんが、20回以上観た数少ない映画の一つであることは確かです。今になってみれば、明らかに青年のみに偏った話作りに不満を覚えなくもないのですが、あのアニメの出来映えを覆すほどのものではないように思います。
 それにしても、こんなに面白いのに、実家に帰ってビデオで見ていると必ず家族が眠りこけちゃうんですよ。だいたいリイクニの家がぶっ壊される前あたりで。
 何でだろう、こんなに面白いのに。


 そういえば「ザ・スニーカー」というライトノベルの雑誌でもご紹介を戴いていました。これはエントリーを改めてまた書きます。


Newtype (ニュータイプ) 2009年 06月号 [雑誌]Newtype (ニュータイプ) 2009年 06月号 [雑誌]
(2009/05/09)
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王立宇宙軍~オネアミスの翼~ [DVD]王立宇宙軍~オネアミスの翼~ [DVD]
(1999/08/25)
森本レオ弥生みつき

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 以前ちょろっとご紹介してはいたのですが、ぶじ本も出版されたことですし、ミサキラヂオの舞台となるミサキの地図とミナトの地図を公開いたします。


ミサキ全図



 本に書くの忘れてたんですけど、原図はセガワが手ずから心を込めて作製いたしました。というかもう、これは楽しくて楽しくて仕方のない作業でした。大まかにラフを描いていったんトレースしてシャーペンで細かいところを描いたのちにもっぺんトレースして水性ボールペンでインクを入れてレタリングしてパソコンに取り込んでトーンを貼って……等という作業にウキウキしながら没入しておりますと、なんというかその、自分の妙に病的な凝り性な部分に気付いてしまうのですが。
 なお、これを手書きでいこうというのは、以前購読していた旅行人という雑誌に毎号掲載されていた、富永省三さんのもんのすごい詳細な手書き地図に影響されております。もちろんあのプロの仕事には及ぶべくもないのですが……。でも地図っていいですよね。


ミナト拡大図


 これはセガワがミサキラヂオを書きながら勝手に妄想していたことで、作品の内容とはまるで関係ないのですが、こういう折りなのでちょいと妄想を垂れ流してみます。実は、可能ならばこの小説を一つの交響曲のように仕上げてみたいなという大それた欲望が執筆の途中から湧き上がってきました。
 だって、ほら、人として生まれたら誰しも一生に一度は交響曲を書きたいと思うじゃないですか(なんか突っ込みどころ満載ですが話が進まないのでとりあえず流してください)。それもできればベートーヴェンとかブルックナーとかマーラーとかショスタコーヴィチみたいなやつ。あ、グノーみたいな軽妙なのでもボロディンみたいな野蛮なのでもホヴァネスみたいなハッタリ効かせた奴でもイイナ。
 まあでも、実際には、これはほとんど不可能な望みなわけです。そんな技術も才能も持ち合わせてませんし、実際書いても上演される可能性なんかまずないですし。オトコノコが誰しも抱く夢、野球選手とか探検家とかサッカー選手とか、そういうものになるよりもはるかに、交響曲を書きたいという夢は実現が難しいんじゃないかなとセガワは思います。
 その夢の残り香が、微かにこの小説に投影できればいいなと思いました。

  Ⅰ楽章:短い序奏を伴ったソナタ形式、Allegretto cantabile.
  Ⅱ楽章:叙情楽章、自由な変奏を含むパッサカリア、Andante comodo - Allegretto.
  Ⅲ楽章:静かな二拍子のスケルツォ、トリオ形式、Allegro tranquillo-Moderato - Presto.
  Ⅳ楽章:長大なフーガ形式のコーダを伴う変奏曲、Allgro con brio.

 こんな感じでしょうか。ともあれこの『ミサキラヂオ』、セガワの中ではささやかな交響曲第一番ということになっております。
 さて次はどんな交響曲……じゃなかった小説を書こうかな。
 というわけで本日から拙作『ミサキラヂオ』が発売になりました!!!
……と書こうとして昨日お茶の水の丸善に行ったらなぜかもうミサキラヂオが積んであって、軽くこけそうになったセガワです。
 みなさまお元気でしょうか。発売日は18日だったのかなあ。


 しかし、これはまあ別に狙ったわけではないのですが、セガワのデビュウ作である『チューバはうたう mit Tuba』の刊行からきっかり一年後なんですよね。自分でも意外でした。こちらのエントリーの記述を見て初めて思い出したぐらいで。
 このことに限らず、この小説はこういう不思議な偶然の一致が多かったように思います。作品の中身には立ち入らないことにしますが、一つだけ申し上げると、この作品は春・夏・秋・冬の四章に分かれています。起稿したのがだいたい昨年の4月、脱稿したのが12月ですから、執筆時期と作中の季節がほとんど一致していたんですよね。これは、非常に作品を書く上で助けになったように思います。逆に言えば、いかに季節の変化に対して自分が忘れっぽいかと言うことを再認識したということでもあるんですが。そして、作中最後の日付は3月18日になるんですが、これは本作の発刊の前日ということになります。これもまた、書いた側としては驚くべき一致でした。
 なにより、作品の始まりにして終わりである初春の季節に、実際に作品をお届けできるのは非常に幸福な偶然であると思いましたよ。
 あとはみなさまのご高評を待つばかりです。どうぞよろしくお願いいたします。一応アマゾンのリンクも貼ってきますね。(しかしこのコレクター商品3770円というのはいったい何なんだろう…)


ミサキラヂオ (想像力の文学)ミサキラヂオ (想像力の文学)
(2009/03)
瀬川 深

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※追記。どうも配本が18日で発売が19日と言うことだったようです。早めに書棚に並べた書店さんだと18日に買えたようですね。編集さんがわざわざ連絡下さいました、ありがとうございました。

segawashin

Author:segawashin
2007年、「mit Tuba」で
第23回太宰治賞受賞。
ホームページはこちら。
www.segawashin.com
ツイッターはこちら。
http://twitter.com/#!/segawashin

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