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セガワブログ

小説家、瀬川深のブログ。

 この暑い中、お台場に行って来ましたよ。といってもガンダムとかフジテレビに用があったわけではなく、研究発表会の会場がこちらだったので。だいぶ前のやはり夏にプラネタリウムを見に行こうとしたら、午前中だというのにその日のチケットがすべて売り切れという夏休みパワーの前に膝を屈した苦い記憶のある場所であります。


 しかしまあ、きれいで広くてびっくりしましたね。中の見学が目的ではなかったんですが、常設展とかちょっと見てくればよかったかな。個人的には上野の科学博物館の方が薄暗くてレトロで好きなんですが、これはまああんまり一般化できる趣味ではないですね。
 夏休みと言うこともあって、とにかくお子さまが多かったです。この中の一部、ごく一部の子供でいいですから、科学というものに興味を持ってくれればいいなあと思ってみたり。昨今は理系離れだなんて言いますけど、そもそも知的好奇心というモノは個人個人ですごく濃淡のあるものですし、ましてや理数系に興味を示す子っていうのは昔ッから一握りだったような気がしますよ。
 ただ、そういう子が示す興味というのは深くて濃くて、長く続くものだと思います。極論すれば教育とは、そういう子のために、奥深くあるべきなんでしょうね。


 売店はちょろっと覗いてみたんですが、楽しそうなものが多すぎて興奮しました(笑)。今どきは工作キットも豊富になったなあ。「風力発電機」なんかはまだ分かるとして、「光通信体験キット」なんてもう隔世の感があるコンテンツですよ。人体模型や白地図地球儀も、古典的ですけどすごく欲しかったです。
 科学関係の本もたくさん置いてありましたね。個人的にうれしかったのは、かこさとしさんの絵本が何点も置いてあったこと。子供のころに大好きだったんですが、今回あらためて読んでみて、その妥協のない内容に感動しました。敢えて言ってみますが、「決して内容を間引かずに、しかしわかりやすく説明する」という姿勢は昨今のコドモ向けの本にはなかなか見られないんじゃないかと思います。「わかりやすくする」ということは「内容を減らす」「省略する」ということとは無縁なのだという思いを強くしました。必要なのは、丁寧であることに尽きるんでしょうね。
 福音館の「かがくのとも」に収められた「うみ」「たいふう」と言った絵本、本当に素晴らしいですよ。


 しかしちょっと笑いそうになってしまったのは、ミシェル・ウェルベックの小説「素粒子」が置いてあったこと。
 ええと日本科学未来館の担当の方ー!これ科学の本じゃないですよー!
 っていうか子供が読んだらかなり問題ある内容てんこ盛りですよー(笑)!


(追記)
……と書きましたけど、あのラストを考えれば科学に関係ある小説ってことでいいのかな。
素粒子とはあんま関係ないですし、お子さま向けじゃないことは間違いないんですが。
あ、小説は大変面白いのでだいたい15歳以上の方は是非どうぞ。
現代ヨーロッパのしんどそうな様子が実によく伝わってきます。
日本も決して無縁じゃない疲労ぶりですね。
(2009.8.5)


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コメント

ブログのタイトルにウエルベックとあって、何かと思ったら、まさかそういうことだとは。
読者が若ければ、人生を狂わせることもありうる本なので、置くべきではないかもしれません(笑)。

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2007年、「mit Tuba」で
第23回太宰治賞受賞。
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