セガワブログ

小説家、瀬川深のブログ。

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 昨日は終戦記念日でした。
 もう終戦から64年も経ったんですねえ。戦争体験者の中でも実際に戦地に赴いた人がほぼ確実に80歳を超えているということで、これは結構大きなことなんじゃないかと思います。セガワが学生のころには、まだぎりぎり「出征」「軍事教練」ということを経験した世代の先生が残っていたんですが。先の大戦を経験したと言っても、子供のころの(いわゆる銃後の)体験と、実際の戦地での体験とではずいぶんな違いがあるでしょうから。
 ある巨大な事象を語る場合でも、「決して美化できないなにものか」を経験として持っている人と、そうでない人とでは、その事象のとらえ方が異なると思うんですよね。大まかにわれらの言う「戦後」とは、実はそういう点でもずいぶん変化しているんだと思います。


 これは前にもどこかで書いたことなんですが、セガワは先の大戦を、「日本人に大損をさせた」というただ一点に基づいて、まるで評価できないものだと思っています。海外領土と海外資産を丸ごと失って原爆まで二発落とされて三十万人をいっぺんに殺されて無条件降伏っていうのは、近現代史でもまれに見る完膚無き負けッぷりでしたしね。
 戦争の正当性とかアジア諸国への侵略または解放とかそういうことを言う前に、肝心の日本国民にとって大損。この結果をふまえると、とても正当化できるシロモノだとは思えないんですが、この大失敗ぶりがきちんと検証されたのかどうかは疑わしいところですね。今どき、歴史修正主義みたいな言い方が一部ではまかり通っているようですし。あんな失敗は繰り返したくないなあ。
 ちなみにその「アジアの解放」についてはちょいと面白い経験をしまして。
 三年ほど前、ベトナムを旅行しているとき、ベトナム人の女の子とフランス人青年というカップルと列車で同席になりました。ホーチミンシティから北上してフエに行く途上だったのですが、どこに行くのかと訊ねると「ディエンビエンフーを観光に」
 ……ウワァ、フランス人太いなあ、俺に仮にロシア人の彼女が居たとしてノモンハン観光に行きましょうよって言われても断るだろうなあ……などと思いつつ雑談していると、「そういえば日本もヴィシー政権を支持してたわよね」とベトナム人の女の子の鋭い一言。
 一本取られたなーと思いました。あの子に八紘一宇などと言う概念を持ちだしても失笑されるでしょうね。


 まあそんなわけで、あの失敗を繰り返さなかった六十四年間というのは日本にとって本当に尊い六十四年間だったと思っています。これを「平和ボケ」って言いたがる手合いもいるようですが、戦争をヴァーチャルなモノとしてしか捕らえられない以上大差ない気もしますし、平和ボケってそもそも悪口なんですかね。戦争なんぞしないに越したことはないですよ。


 それからもう一つ、セガワが戦争に断固反対する理由は、戦争の時におそらく蔓延するであろうマチスモな雰囲気に絶対に我慢できないであろうことが挙げられます。
 そもそも自分は体育会系的な雰囲気ですら苦手なんですよ、あの応援の時にでかい声出したり、「体前に出して当たってけー」的な抽象的な物言いがまかり通る世界。スポーツが面白いと思うようになったのは成人してからで、自分が「体育が嫌いなんじゃなくて体育会系の雰囲気が嫌いだったのだ」と気付いたときには目から鱗が落ちる思いでした(*)。
 これが戦争なんぞになれば、もっとタチ悪い集団的な圧力が生じるだろうなとセガワは確信しています。それでなくたって日本人、精神主義とか根性とかが大好きですから。マッチョ志向の集団ヒステリーって本当にタチが悪いですよ。「自分自身が雄々しく、なにか崇高なものごとに連なっている」幻想を共有した社会っていやだなあ。ここぞとばかりに張り切る廊下鳶が大量発生しそうです(**)。あのアメリカだって、イラク戦争の際にはフレンチフライをフリーダムフライと言い換えるような寝ぼけたことをしていたわけですから、この点においては人類はまったく進歩していないんでしょう。あれを提唱した議員って、今なにやってるんでしょうね。


 まあセガワも年齢的には戦争にかり出される時期は過ぎているでしょうし(とはいえ太平洋戦争の末期には四十越えのオッサンたちまで引っ張り出されたらしいですけど)、なれば次の世代も戦争を経験することがないように祈りたいものです。
 あの長く損失の多かった戦争に携わった人たちのご冥福とともに。



(*) 「人前ででかい声を出すのが苦手」という性分は、わりとスポーツに不向きなんじゃないかと本気で思っています。少なくとも日本では。これはわりと本気で考えていることで、「体育会系と体育」の差異については一度稿を改めて書いてみたいですね。

(**)これについては、中国人の知人から聞いた文化大革命当時のエピソードが面白すぎたんですが、これはまた別の機会に書きます。端的に言えば戦時下の日本とそっくりだったという印象を抱きました。


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2007年、「mit Tuba」で
第23回太宰治賞受賞。
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