セガワブログ

小説家、瀬川深のブログ。

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交響曲ニ長調

四月のある日
埼玉県春日部市あたりを
自転車で徘徊していたら
とつぜん水と泥のにおいがした
なんということだ
こういう日は早く家に帰ろう
帰ったら窓を大きく開けて
ドヴォルザークの交響曲を聴こう
ボヘミアの片田舎の旅籠屋の小倅が
音楽の神に心から愛されて起こした
豊かで惜しみない奇蹟を聴こう


べつだん畏まることはない
人の手によるもっとも豊かな果実であるくせ
ここには
春はじめて鳴く鳥や
野の上に満ちる陽光や
百姓どものらんちき騒ぎが
音楽の深い淵の中にいっぱいに詰まっている
まるで春の泥が
珪素や燐やカリウムや
仔虫の骸やそれを喰むバクテリアや
そして生み出される窒素や糖やアミノ酸に満ち
巨大な混沌と連鎖の果てに
やがて群がり育つ
あまたの実りを支えるように


そうだこうしてはいられない
こういう日には早く帰ろう
そして家の窓を開けて
ドヴォルザークの交響曲を聴くのだ



-------- ☆ --------


久しぶりに、昔書いた詩をあげてみました。


今日はやけにいい天気でしたが、
小説を書きながら久しぶりにドヴォルザークの交響曲を聴いていました。
ドヴォルザークというものすごい天分に恵まれた作曲家が
その資質をまるで出し惜しみもせずにどんどん音楽の中に放り込み、
ちょっとまとまりの悪いところもあんまり気にせず豊潤な音をぎゅうぎゅうに詰め込んだ、
そんな感じのこの上なく魅力的な曲だと思います。
まさしく、これこそが春なのだなと思わせるような曲です。

ドヴォルザーク:交響曲第6番ドヴォルザーク:交響曲第6番
(2005/09/21)
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2007年、「mit Tuba」で
第23回太宰治賞受賞。
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