先週はどういったことかやけに音楽づいた週末でした。
今さらながらご報告ですよ。
4/12(土)。
Violin Explosion 2008というライブに行って来ましたー。
以前、拙著をアルゼンチンまで空輸してくださった徳永先生からのご招待です。
徳永先生ありがとうございます。
これがまあ実に濃いライブでした。
出演したのは中西俊博さん、太田恵資さん、喜多直毅さんの3人。
それぞれにおっそろしく個性派のヴァイオリニストが3人集まると
どういうセッションになるのか、はなはだ興味がありました。
前半は各人のソロでした。
喜多さん→太田さん→中西さんの順序だったのですが、
中西さんが鋭角なリズムの気持ちいいタンゴ調の曲を聴かせたかと思うと
太田さんが濃厚な中近東風の「モズクス(だったかな)」を歌い、
中西さんがとびきり快速のアイリッシュ・リールを弾く。
もうこれだけで地球一周ですよ。
凄いライブだなこれは、と、この時点でしみじみ思いました。
後半は二人ずつのデュオ、そして3人でのセッションとなったのですが、
ここでそれぞれのヴァイオリンがさまざまに表情を変えるのが実に印象的でした。
と言ってもセガワがそれまで実演で聴いていたのは
シカラムータでの太田さんと、某東京うましか大学の学内ライブでの喜多さんという
それぞれのプレイヤーのごく一部でしかなかったのですが、
曲目や演奏者によって、プロフェッショナルのヴァイオリンというのは
色合いに音色に歌い方を実に幅広く変化(へんげ)させるモノだと思い知りました。
曲目を逐一メモっていなかったことが悔やまれるのですが、
たとえば太田さん・中西さんのジャンゴ・ラインハルトは、
その歌い方と軽やかさに思わず目を見張らされましたし、
最後の3人のセッションは、同じ曲をやっていながらに
これほどにヴァイオリンとは個性が出るものかと驚かされました。
あくまでこちらはド素人、ろくすっぽ音楽の素養も持ち合わせない聴衆に過ぎないと
ご容赦頂きたいのですが、
例えば中西さんのヴァイオリンが低く太く唸り、太田さんのヴァイオリンが高く細く歌うときに、
喜多さんのヴァイオリンはさくさくとリズムの楔を打ち込んでゆく。
そんな感じであります。
アンコールで演奏されたこれまたジャンゴの『タイガーラグ』、
あのとてつもない熱狂と高揚感は、滅多に経験できないものだったと
今になっても思います。
まったく使い古された言い回しなのですが、
それでも「ライブならでは」としか言いようのない、
会場の空気が熱い風で満たされたかのような一瞬でした。
なお、どうしても言及が後回しになってしまって恐縮なのですが、
その他のプレイヤーの方々が凄腕揃いであったことも付け加えておきます。
言ってみればこれほどに音楽ジャンルの違う3人に軽々とついてゆき、
ソロも掛け合いも平然とやってのけたのですから。
それからもう一つ、軽妙なトークはやはり太田さんの独壇場でありました(笑)。
それにしてもヴァイオリンという楽器がここまで幅広い色合いを持つことに
本当に驚きました。
それはもちろん、これだけの手練れかつ個性派のヴァイオリニストが一同に介したことで
はっきりと見えたことではあったのですが、
ヴァイオリンあるいはフィドルという楽器が
西洋の片隅から世界中に播種されたポテンシャルの一端を垣間見たような気分でした。
クラシックは勿論のこと、中近東の楽団やインドの大道芸人、
日本や韓国の演歌にムードミュージック、
ブルースやカントリー、タンゴやフォルクローレにまで
ヴァイオリンはぬけぬけと食い込んでそれぞれの歌を歌うのですから。
また、終演後に徳永先生とちょっと話していて思ったことなんですが、
こんなにも面白いライブを東京では聴くことが出来るんですね。
変な言い回しですが、正直に言って今回のライブ、
他人に説明するときにはちょっと言葉に迷うところがあります。
ジャズとも言えるしタンゴとも言える、中東や東欧の音楽とも言える。
といって曲目の半数はオリジナルの曲なわけですから、
現代日本の音楽といっても間違いではない。
突き詰めれば、「ヴァイオリンで演奏されるさまざまな音楽」としか言いようがない。
「間違いなく面白いから聴いてみてくれ」としか言いようがない。
これは、人に伝えるには少々難しいことなのですが、
しかし、伝えなければいけないなとも思うわけです。
少々大それたことを言えば、こういう面白いものが世の中に存在すると分かれば
ちょっとは人生も楽しくなると思うんですよ。
これは今回のライブに限ったことではなくて、
そのほかにも、それぞれの人にとって「実はものすごく面白い」ものが
必ず存在すると思うのです。
そういうものを探し当てるのには少々体力も時間も必要ですし、
運や人の縁も必要なのでしょうが、それは払うに足る苦労じゃないでしょうかね。
ある種の倦怠や不満足を、確実に覆す力を持つでしょうから。
少々気取って言うならば、「人生を嘆く前に」ということであります。
ともあれ、セガワにとってこの日はひどく幸福な夜でした。
翌日のコンサートについては、また明日書きます。
(追記)
ものすごく詳細に曲目を解説して下さっているブログがありましたので、リンクを貼っておきます。
こちらです。
ワタシのようなヘタレオーディエンスにはつくづくありがたいですよ。
(さらに追記)
上のリンクのアドレスが間違っていたので修正しました。重ね重ね失礼いたしました……。
今さらながらご報告ですよ。
4/12(土)。
Violin Explosion 2008というライブに行って来ましたー。
以前、拙著をアルゼンチンまで空輸してくださった徳永先生からのご招待です。
徳永先生ありがとうございます。
これがまあ実に濃いライブでした。
出演したのは中西俊博さん、太田恵資さん、喜多直毅さんの3人。
それぞれにおっそろしく個性派のヴァイオリニストが3人集まると
どういうセッションになるのか、はなはだ興味がありました。
前半は各人のソロでした。
喜多さん→太田さん→中西さんの順序だったのですが、
中西さんが鋭角なリズムの気持ちいいタンゴ調の曲を聴かせたかと思うと
太田さんが濃厚な中近東風の「モズクス(だったかな)」を歌い、
中西さんがとびきり快速のアイリッシュ・リールを弾く。
もうこれだけで地球一周ですよ。
凄いライブだなこれは、と、この時点でしみじみ思いました。
後半は二人ずつのデュオ、そして3人でのセッションとなったのですが、
ここでそれぞれのヴァイオリンがさまざまに表情を変えるのが実に印象的でした。
と言ってもセガワがそれまで実演で聴いていたのは
シカラムータでの太田さんと、某東京うましか大学の学内ライブでの喜多さんという
それぞれのプレイヤーのごく一部でしかなかったのですが、
曲目や演奏者によって、プロフェッショナルのヴァイオリンというのは
色合いに音色に歌い方を実に幅広く変化(へんげ)させるモノだと思い知りました。
曲目を逐一メモっていなかったことが悔やまれるのですが、
たとえば太田さん・中西さんのジャンゴ・ラインハルトは、
その歌い方と軽やかさに思わず目を見張らされましたし、
最後の3人のセッションは、同じ曲をやっていながらに
これほどにヴァイオリンとは個性が出るものかと驚かされました。
あくまでこちらはド素人、ろくすっぽ音楽の素養も持ち合わせない聴衆に過ぎないと
ご容赦頂きたいのですが、
例えば中西さんのヴァイオリンが低く太く唸り、太田さんのヴァイオリンが高く細く歌うときに、
喜多さんのヴァイオリンはさくさくとリズムの楔を打ち込んでゆく。
そんな感じであります。
アンコールで演奏されたこれまたジャンゴの『タイガーラグ』、
あのとてつもない熱狂と高揚感は、滅多に経験できないものだったと
今になっても思います。
まったく使い古された言い回しなのですが、
それでも「ライブならでは」としか言いようのない、
会場の空気が熱い風で満たされたかのような一瞬でした。
なお、どうしても言及が後回しになってしまって恐縮なのですが、
その他のプレイヤーの方々が凄腕揃いであったことも付け加えておきます。
言ってみればこれほどに音楽ジャンルの違う3人に軽々とついてゆき、
ソロも掛け合いも平然とやってのけたのですから。
それからもう一つ、軽妙なトークはやはり太田さんの独壇場でありました(笑)。
それにしてもヴァイオリンという楽器がここまで幅広い色合いを持つことに
本当に驚きました。
それはもちろん、これだけの手練れかつ個性派のヴァイオリニストが一同に介したことで
はっきりと見えたことではあったのですが、
ヴァイオリンあるいはフィドルという楽器が
西洋の片隅から世界中に播種されたポテンシャルの一端を垣間見たような気分でした。
クラシックは勿論のこと、中近東の楽団やインドの大道芸人、
日本や韓国の演歌にムードミュージック、
ブルースやカントリー、タンゴやフォルクローレにまで
ヴァイオリンはぬけぬけと食い込んでそれぞれの歌を歌うのですから。
また、終演後に徳永先生とちょっと話していて思ったことなんですが、
こんなにも面白いライブを東京では聴くことが出来るんですね。
変な言い回しですが、正直に言って今回のライブ、
他人に説明するときにはちょっと言葉に迷うところがあります。
ジャズとも言えるしタンゴとも言える、中東や東欧の音楽とも言える。
といって曲目の半数はオリジナルの曲なわけですから、
現代日本の音楽といっても間違いではない。
突き詰めれば、「ヴァイオリンで演奏されるさまざまな音楽」としか言いようがない。
「間違いなく面白いから聴いてみてくれ」としか言いようがない。
これは、人に伝えるには少々難しいことなのですが、
しかし、伝えなければいけないなとも思うわけです。
少々大それたことを言えば、こういう面白いものが世の中に存在すると分かれば
ちょっとは人生も楽しくなると思うんですよ。
これは今回のライブに限ったことではなくて、
そのほかにも、それぞれの人にとって「実はものすごく面白い」ものが
必ず存在すると思うのです。
そういうものを探し当てるのには少々体力も時間も必要ですし、
運や人の縁も必要なのでしょうが、それは払うに足る苦労じゃないでしょうかね。
ある種の倦怠や不満足を、確実に覆す力を持つでしょうから。
少々気取って言うならば、「人生を嘆く前に」ということであります。
ともあれ、セガワにとってこの日はひどく幸福な夜でした。
翌日のコンサートについては、また明日書きます。
(追記)
ものすごく詳細に曲目を解説して下さっているブログがありましたので、リンクを貼っておきます。
こちらです。
ワタシのようなヘタレオーディエンスにはつくづくありがたいですよ。
(さらに追記)
上のリンクのアドレスが間違っていたので修正しました。重ね重ね失礼いたしました……。
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コメント
どうもありがとうございます。
>マルコーニ様
コメント並びにトラックバック、ありがとうございました。
こちらはリンクのアドレスが間違っていたようで申し訳ありません;
修正並びに、トラックバック改めて送らせていただきました。
コメント並びにトラックバック、ありがとうございました。
こちらはリンクのアドレスが間違っていたようで申し訳ありません;
修正並びに、トラックバック改めて送らせていただきました。
順序が逆になりましたが
感想どうもありがとうございました。
実際東京というのは面白いもので溢れた都市です。
20年前からずっとそうで、ますます面白くなる一方です。
20年前と違うのは、ささやかながら自分も「面白くする」側に貢献しているということです。
瀬川さんもそうですよね。
面白くないと思ってる人はたぶん、「面白くない人」ですね、その人自身が。
実際東京というのは面白いもので溢れた都市です。
20年前からずっとそうで、ますます面白くなる一方です。
20年前と違うのは、ささやかながら自分も「面白くする」側に貢献しているということです。
瀬川さんもそうですよね。
面白くないと思ってる人はたぶん、「面白くない人」ですね、その人自身が。
>20年前からずっとそうで、ますます面白くなる一方です。
こういう言葉には、勇気付けられますね。
それでなくても、どうも現実の憂鬱を嘆く言葉が多すぎるなと
いろんなメディアを見ていて思いますので。
>面白くないと思ってる人はたぶん、「面白くない人」ですね、その人自身が。
おっしゃるとおりだと思います。
面白さを求めるために、もうちょっとだけ汗を流す、
そういうことをしてみてもいいと思うんですよね。
手軽に手にはいる、かりそめの面白さばかりではなく。
こういう言葉には、勇気付けられますね。
それでなくても、どうも現実の憂鬱を嘆く言葉が多すぎるなと
いろんなメディアを見ていて思いますので。
>面白くないと思ってる人はたぶん、「面白くない人」ですね、その人自身が。
おっしゃるとおりだと思います。
面白さを求めるために、もうちょっとだけ汗を流す、
そういうことをしてみてもいいと思うんですよね。
手軽に手にはいる、かりそめの面白さばかりではなく。
また私のブログからもトラックバックさせていただきました。