セガワブログ

小説家、瀬川深のブログ。

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 ヤモリのペットマスターである後輩とヤモリの話をしていたら、ふと四半世紀近く前の記憶、「折り紙でヤモリを折った人」のことを思い出しまして。ちゃちゃっと検索してみたら、出てきましたよ。つくづくネットって便利です。
 前川淳さんという、天才折り紙作家。
 たかが折り紙と思うなかれ、この人の作品は余りにもすごいのです。
 折り紙に、「設計」という概念を導入し、必要なパーツを展開図に埋め込むという方法で「正方形の用紙をいっさい切らない」という制約ありの折り紙に飛躍的な作風の幅を広げてしまった人なのですよ。
 残念ながら公式サイトがないようなので、こちらをご参照下さいな。
http://kazufujiatuo.ld.infoseek.co.jp/02maekawa.html


 小学生のころの自分はドッジボールと野球嫌い、趣味はあやとりと折り紙というかなりのび太君度数の高いインドア系小学生だったのですが、確かこの頃に図書館から借りてきた折り紙の本にびっくり仰天してしまったのが前川作品との出会いだったと思います。「ビバ!おりがみ」という前川さんの初単行でした。
 文字通り、震撼と言っていい感覚。結構高い本だったけど親にねだって買ってもらい、
小学生の自分に手に負えるようなレベルのモノじゃなかったけれど、それでも少しずつ折ってみては楽しみ、いろいろ眺めては驚愕したことを覚えています。
 それから歴史が下り、折り紙もやらなくなってずいぶん経つんですが、改めて調べてびっくりしたのは、この前川さん、件の「ビバ!おりがみ」を上梓したとき、なんと弱冠26歳だったらしい。
 もちろん26歳になってぽんと本が出せるはずもなく、それまで膨大な試行錯誤を重ねた結果がこの本なのでしょう。
 その若さと革新性の両方に、つくづく驚嘆します。


 この前川さんに限らず、モノ作る人の来歴を調べるに、最近つとに「その人がいつその仕事をしたのか」ということが気になります。
 まあ二十歳ぐらいの頃だったら、立派な仕事をした人っていうのはたいてい自分よりはるかに年上なわけです。そうであればあんまり身近にも感じられないし、焦る理由も乏しい。「マー俺も歳とりゃそれなりの仕事ができるべや」と、悪い意味でおおらかな結論に至るわけです。もちろん先人たちもその年になるまでダラダラ遊び暮らしてたわけではなく、単にその年にいたって果実が実っただけのことなんでしょうが、まあ、当時の自分はそのへんに対して実に無邪気だったんでしょう。
 で、自分がある程度年を食って、ようやく慌て始めたということです。お恥ずかしい話ですが。


 そうしてみると、三十歳台というのはある程度の力押しで仕事ができる最後の時期なんじゃないかという気がします。引き合いに出すのもおこがましいけど、ジョイスもフォークナーもガルシア=マルケスも、三十台にものすごく濃密で立派な仕事をしていますし。
 巨大な先人たちに伍せるなどと大それたことは思っちゃいないが、規範とすべき物差しを知っておくのは悪いことではないと思います。
 そういうものがないと、底の浅い現場主義を省みるのは難しいと思うんですよ。


 及ぶとは思わずとも、せめて足掻きたいとつくづく思います。
 時間ってのはあるようでないものだし、それでいてあんがいゆったり流れるものですから。
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Author:segawashin
2007年、「mit Tuba」で
第23回太宰治賞受賞。
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