セガワブログ

小説家、瀬川深のブログ。

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 先週末、無事ポルトガルより帰って参りました。
 やはり総じての印象は、残照の国の一言に尽きるような気がします。リスボンにポルト、美しい町並みや壮麗な教会があまりに見事なだけに。とりわけポルトの旧市街地は見事で、地形と建造物とが有機的に絡み合ってこれほどに立体的な町並みを作りだしている例を、自分の狭い見聞ではほとんど知りません。しかし、こういう町のインフラのたぐいをよくよく見ればけっこうくたびれてガタが来ており、どうも地中海性の気候と相まって、西欧というよりはバルカン半島あたりのどこかの街にいるように思えて不思議でした。雰囲気で言えば、マケドニアとかブルガリアに似ているような印象です。


 食べ物はたいそう美味しかったですよ。とりわけ、魚を多彩に料理する点については、日本に勝るとも劣らないような気がします。和食は少々生魚をありがたがりすぎるきらいがあると個人的には思うのですが、ポルトガルはそれがない分だけ、焼き、煮込み、揚げ、塩漬けにしてまたなにかと混ぜ込み、魚とその他の食材を器用に調和させているようです。
 もっとも、店によってずいぶん調理の腕に差があるようにも感じたのですが……。


 それともう一つ、ポルトガル人の気質はちょっと他の地中海沿岸の地域と違っていて、ある種の人なつこさみたいなものを感じることが少なかったように思います。よく言えば素朴なのかも知れませんが、まあ要するに総じての印象はぶっきらぼうでした。もちろん、愛想の良さと本質的な親切さとはまったく別のものだと理解してはいるのですが、それでも完全に異邦人の旅行者としては、なにか問いかけたときにぶつ切りの一言で返答したきり目を背けられてしまうと、どうもすっきりしない感情が募るのは確かです。英語が通じにくいことは仕方がないとしても、一応はヨーロッパ有数の観光地である街に行ってもそんな印象が拭いきれなかったです。
 もちろん、ポルトのホテルのおっちゃんおばさんとか、オビドスのカフェのお姉さんとか、少なからぬ例外にも出会っているんですけれどね。ことによれば彼らは、少々人見知りのような感情が強いのかも知れません。


 それからもう一つ、ポルトガルの書店はあまり大きいところがなかったです。ロードマップコレクターの自分はかなり苦労をしてイベリア半島のロードマップを購入したんですが、見たらフランスの出版社が出したやつでした。
 そんな品ぞろえだけれど、きっちりアントニオ・サラザールの伝記&写真集が売られていたり、アンゴラやモザンビークやマカオや東チモールの「植民地時代の」写真集が売られていたりするあたりは……なんというかその、ちょっとうすら寒い気分になりました。ここまで国が斜陽になっても(だからこそ、と言うべきか)、過去の栄光を回顧したい人がいるということなのでしょうかね。日本で戦後30年たってから「満州」「パラオ」みたいな写真集が出てしかもそれが結構売れているような状況を想像すれば近いのではないかと思います。
 ポルトガル植民地主義者というのは、あまり詳しくない分野ではありますけど、興味をそそられますね。フランスやイギリスのそれよりも、もっと頑固で浮世離れしている印象があります。そういえば、ナイポールの小説に、グダグダになった植民地時代のモザンビークの描写が出てきたことを思い出しました。


 まあそれはそれとして、ちょっとだけ写真をご披露。

Port

とにかく見事なPortoの旧市街です。


Tuba bar

Obidosで面白い店を見付けました!Barと書いてありますけど、まあふつうのカフェテリアです。
しかしなぜにチューバ?


Pesoa

こちらはまあお約束ですが。フェルナンド・ペソアさんと写真を撮って参りました。
今年は生誕120周年だそうです。
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Author:segawashin
2007年、「mit Tuba」で
第23回太宰治賞受賞。
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