セガワブログ

小説家、瀬川深のブログ。

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 三木鶏郎作詞作曲「僕は特急の機関士で」。1950年の大ヒット曲だったらしい。
 セガワは主に母親の英才教育が行き届いていたので幼児期から中尾ミエの歌だの中村八代だのの曲をみっちり聴かされてきたのだが、そこで知った曲。三木鶏郎の曲だとは当然知らなかったのだが。まさかネットで拾えるとは思わなかった。
 20年以上建って改めて聴いて驚くのは、かなりスウィング・ジャズを意識した音作りにしていることや、当時おそらくスタジオ一発録りであったであろうミュージシャンたちのすばらしい芸達者さ(間奏で一瞬曲の雰囲気をがらっと変えるあたりとか、惚れ惚れする)。そしてなにより、三木鶏郎のものすごい才人ぶり。なにが怖いかって、おそらくコレ、あんまり大した時間をかけていないんじゃないかと思われる曲なんだが、「熱海湯の町恋の町 寛一お宮の昔から 愛し恋しの二人連れ 闇のトンネル通りゃんせ」とか、とにかく巧い。
 多分この曲でいちばんの才気を感じるところはサビの部分、「トーキョー キョート オーサカ ウゥウゥウゥウゥ ポッポ」。地名を三つ連ねただけなのに、そこには四つの長母音と二つの短母音が入り、ぴたりと音楽に組み合わされる。この無造作が出来ることこそが、才能なんだと思う。
 そしてこの曲、底抜けに明るい。 敗戦からたった五年で日本の一世を風靡した音楽の明るさと来ては眩しすぎて、なにか凄みを感じるほどだ。15年の戦争というのは、本当につまんない時代だったんだろうと思う。それが、帝大の法科を出て順調にエリートコースを歩んでいた三木鶏郎にまるで違った人生を歩ませた理由になったのかどうか、今の自分の知識ではよく分からないんだけど。




 確か中学校の時に初めて聞いたレイ・チャールズの「旅立てジャック」。ウワァかっこいい、と当時思ったものだが、改めて観てみて、ガツンとやられた。
 なんていかがわしいんだろう。なんて薄暗くて、なんて格好いいんだろう。良識ある大人がまゆをひそめた理由がよく分かる。これはアレだ、昭和の御代ならば「嫁入り前の娘に見せてはいけない」といった類の音楽だ。やっぱりマトモな大人っていうのはこういう音楽におもねっちゃいかんな。ガキどもと一緒にプレスリーなんか歌っちゃいけないのですよ。それにしても、アメリカで公民権運動が盛んになる前に、こんなうさんくさくてこんな素敵な音楽は確かに生まれていたらしい。





 で、こちらはジェイミー・フォックスによるカヴァー。フォックスの芸達者ぶりと再現度の高さに惚れ惚れするんだけど、しかしここからはたった一つ、いかがわしさというものが拭い去られている印象を強く持った。






 チリのフォーク・グループQuilapayunによる、「不屈の民~El pueblo unido jamas sera vencido」。あまたあるプロテスト・ソングの中でももっとも劇的なエピソードに彩られた曲の一つであろう。この素晴らしい曲はシカラムータのアルバム"Ghost Circus"に教えられた。不勉強を恥じるが、高橋悠治のCD「不屈の民変奏曲」の原曲であることも、こののちに知った(作曲はフレデリック・ジェフスキ)。
 きわめてイデオロジックな背景を持つ曲であるのは確かだが、この曲の歌われたチリ共和国の現代史を思うに、それは遠い地球の裏側から云々することなどとても出来たことではないように思われる。アジェンデ政権がアメリカを後ろ盾にしたクーデターで倒されたとき、この曲を歌っていたビクトル・ハラは軍人に虐殺されている。そしてこの動画のキラパジュンが長い亡命生活から帰国し、民政が回復されるまでには20年近い時間がかかっているのだ。 かなり読み応えがあるが、こちらのリンク先が大変参考になる。
 余談だが、昨年学会でサンディエゴを訪れたとき、郊外のヒスパニック系が多く住む、率直に言ってあまり豊かではない地帯にホテルを取ったのだが、そこの壁に描かれた壁画には"El pueblo unido jamas sera vencido!"と書かれていて、胸を突かれる思いがした。




 Kid Cleore and the Coconuts で"Endicott"。ジャンミシェル・バスキア主演の映画"Downtown 81"で知ったグループ。ウワァうさんくさい!大好き!
 それにしても、このセクシーダイナマイツなおねいちゃんがコーラスを入れるスタイル(上のHit the road, Jackもそうですね)には、なにかルーツとか名称とかがあるんでしょうか。大友克洋「アキラ」の5巻で、二度目に月をぶっ壊すアキラの前でネオ東京のチンピラたちがまさしくこういうステージをやっていたのが凄く印象に残ってるんだけど。
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コメント

なるほどです

いつも拝見しています。いつも更新感服します。僕も頑張ります。ここのところ寒くなってきたので風邪などに気をつけて下さい。応援しています。

>アキさん
コメントありがとうございます。これからも地道に書いてゆきますので、暖かくお見守り下さい。

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Author:segawashin
2007年、「mit Tuba」で
第23回太宰治賞受賞。
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