セガワブログ

小説家、瀬川深のブログ。

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 アメリカのフィラデルフィアという町にいます。こちらの学会に出席するためなんですが。予想通りにとってもおいしくないアメリカごはん(よく言われる『油っぽい』よりも『甘い』ことが元凶ではないのかと薄々感付いてみたり)に涙目になり、ひたすら通じない英語にしょんぼりしつつ、現在滞在四日目です。


 セガワは東海岸の滞在は初めてなんですが、来るときはニューヨーク経由でフィラデルフィアに入りました。NYでちょいと時間があったんで、一応お約束通りに自由の女神を見てきたりエンパイア・ステートビルのてっぺんに登ったりしましたよ。自由の女神は予想していたよりもかなりちっちゃかったのですが、ひょっとするとアレはレプリカだったのかも知れません。
 エンパイア・ステートビルは内部が絶賛改装中で、「きれいに改装するから待っててネ☆」と書いてはありましたけど、おおらかな工事ッぷりに今後の進捗がちょっぴり気になりました。80階まで高速かつ激震で上昇するエレベーターもなかなかのスリルです。あと、「アメリカで一番高いビル(2001年9月11日以来)」とはどこにも書いてありませんでしたが、これもマー大人の配慮というやつなんでしょうか。
 それにしても、NYの街中を歩いていて、俺、あんまりNYに憧れてなかったんだなあと改めて感じました。だいたいNYといってもせいぜい「ゴーストバスターズ」(古ッ)と「ゴースト ニューヨークの幻」(古ッ)ぐらいしか思いつかないので、「アー幽霊の多い町なんだろうなー」というピントのずれた印象しか出てきませんでしたし。ブロードウェイとかタイムズ・スクエアとか、話には聞く地名がどんどん出てくるんですけどね。けっこう日本人には人気の街らしいので、なんか申し訳ないぐらいです。実際来るときの飛行機も、半分以上は観光目的とおぼしき若い女性でしたし。
 あ、グリニッヂ・ビレッジにはちょっと行ってみたかったですけど。これは宮内勝典さんの小説「グリニッジの光りを離れて」の影響が強いかも知れません。河原温がさらっと登場してびっくりします。


 これは以前うちの母と話していて非常に興味深かったことなんですが、1940年代生まれの母と1970年代生まれの自分とでは、アメリカに対する印象がずいぶん違うんですよね。母はとりわけアメリカに好意的だというわけでもないんですが、やはり青春時代に触れたアメリカ映画やアメリカ音楽は本当に素晴らしくて、心の底から憧れることができたらしいです。まあそれは「エデンの東」とか「サウンド・オブ・ミュージック」とか「ファンタジア」とか「風とともに去りぬ」とかいった映画なんで、昨今のハリウッド映画は同じ箱に入らないみたいですけど。
 翻って自分のいちばん古いアメリカの印象ってなにかなあと思い出してみると、たぶんデトロイトあたりで日本車をぶっ壊していた労働者の映像じゃないかと思ったりします。で、その後もスペースシャトルが事故を起こしたりレーガンがSDI構想をブチあげたり、なんとなく景気のいい話が思い出せない。で、アメリカの印象を決定づけたのが中学校の時に観た「ロッキー4」です。もちろんご存じでしょうが、当時、ものすごいヒットした映画なんですよ。だけど実際観てみると、「ミスターアメリカ」みたいな格好でセクシーダイナマイツなおねいちゃんに囲まれてリングに登場したアポロが、これまた「ミスターソヴィエト」みたいなドラゴにやられてあっけなく絶命。でもってロッキーがソ連に乗り込んでってリベンジマッチなんですけど、科学者に囲まれてハイテクな設備でトレーニングするドラゴと、丸木小屋で野趣溢れるトレーニングに没頭するロッキー。で、マーいろいろあって最後にロッキー勝利。
 ……たぶんこれ、ゴーストバスターズに次いではっきり観たことを憶えているアメリカ映画なんですが、中学二年生だった自分にはあまりにも強烈でしたね。このストーリーはなにかの冗談じゃないかと、最後まで疑ってましたもん。「いやぁまさかこんな見え見えのストーリーが全米No.1ヒットとかね、hahahaまさか」と思いながら見続けて、最後に星条旗をまとって勝利宣言するロッキーを観るに及び、すごい脱力したことを今でも記憶しています。で、こういう映画が大ヒットしちゃうアメリカって、妙な国だなあと思いましたね。(まあ日本でも大ヒットしましたけど。考えてみれば無邪気な反応だなと思います。)
 さすがにそれからずいぶん時間が経って、アメリカの印象がロッキーだけにとどまらないこともよく分かったんですが、それでも自分の好きなアメリカといえばウィリアム・フォークナーとかフラナリー・オコナーとかトマス・ピンチョンの描くアメリカであり、ジョージア・オキーフやエドワード・ホッパーの描くアメリカですから、アメリカの中でもかなりマージナルなものに惹かれているとしか思えません。それにアメリカのメインストリームにあると思われるモノは、今は政治にせよ文化にせよ経済にせよ、できればあんまり深く関わらずに遠巻きに見守っていたいような気がします。
 まあそんなわけで、すっかりすれっからしになってしまったセガワにとってはアメリカというのはとりわけ憧れの国というわけではなく、まァ仕事で行けば十分かなーという程度の印象であります。
 あ、フィラデルフィアはわりと落ち着いていていい街ですよ。中心街は静かな古都といった雰囲気ですが、サウスストリート近辺にはちょいとダメな感じのお店もたまっていてフィラデルフィアのクールでヒップなやんぐが屯しておりますし。それにどでかい中華街が学会会場に隣接しているので、まずいごはんを華麗に回避できるのもいいですね。


 一つだけ余談ですが、大統領選の翌週ではありますが町中には大騒ぎの余波はあまり残っていませんでした。テレビは連日オバマさんのことが特集されてますけど。「オバマグッズで経済効果が80億ドル!」なんて放送を見ると、まあアメリカも平和なんだなと思いました。あ、オバマコンドームというのはちょっと欲しかったです。探してるけど見つからないんだよなあ。ついでにマケインコンドームペイリンコンドームというのもあるようなんですが、「ええッ、そんな途中で破れてしまいそうなモノをッ」と即座に反応してしまったり。下品ですみませんです。
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コメント

なんだか

「マケイン・コンドーム」と「ペイリン・コンドーム」は避妊に失敗しそうですね。
(選挙に)破れているので。

>コウイチさん
コメントありがとうございます。
テレビで紹介されていたんですが、見た瞬間吹きそうになりました。
マケインなんかは前回の選挙で大破、今回の選挙でもかなりの差がついてましたし、
ペイリンに至っては品質に疑いが……
すいませんじわじわ下品になって。

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Author:segawashin
2007年、「mit Tuba」で
第23回太宰治賞受賞。
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