セガワブログ

小説家、瀬川深のブログ。

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いつのまにやら母は
耕す人になっていた
産む人であり育てる人だと思っていたが
月がめぐり水がながれ
干支がひとまわりもすれば
家の前の一反にもならない土地は
いつしか苗床となって
実りへと身を大きく伸ばしつつあるようだ
思えば赤ん坊は海の中で生まれ
這って陸に上がり
肌の上の塩水(えんすい)を拭われてからは
間近く海に臨みつつも
土の上に両足をつけて育ち
土の中に殖えるものを喰らい
土の下に眠るのだから
母もまたその作法に倣ったものらしい
このせつなにもまた
赤ん坊は水の中で産声を上げ
月夜の浜へと這い上がってくる
だから耕しておかねばなるまい
波間に母がいるのならば
石ころのあいだ畝のあいだにも母がいる




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母親の誕生日に詩を贈りました。
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Author:segawashin
2007年、「mit Tuba」で
第23回太宰治賞受賞。
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